神社にお参りすると、社務所の窓口や授与所に並ぶお守り・御朱印・お神札・絵馬・破魔矢などの品々を目にします。これらは「授与品(じゅよひん)」と総称され、神社で参拝者に授与・頒布される神社ならではの大切な品々です。なかでもお神札やお守りは、神前で祓い清められ、参拝者に授与されるものと説明されます。
この記事では、神社本庁公式や東京大神宮・伊勢神宮などの解説を参考に、主な授与品を便宜上6カテゴリ(お神札・お守り・御朱印・絵馬・縁起物・その他)に整理し、それぞれの意味と扱い方、受け方・返納のマナー、神棚での祀り方の基本までやさしくお届けします。神社では「買う」よりも「受ける」「授かる」と表現される文化を、はじめての方にも分かりやすく整理します。
授与品とは|神社で頒布される神様の力を宿した品々

授与品とは、神社でお頒(わか)ちしているお守り・お神札・御朱印などの総称です。なかでもお神札やお守りは、神前で祓い清められ、神様のお力を戴くものと説明されます(神社本庁の解説より)。
「買う」より「受ける」「授かる」
- 授与品は神社が頒布するもので、商品の購入とは性格が異なる
- 納める金銭は初穂料(はつほりょう)と呼ばれ、神様へのお供えの意味合い
- 授与品を受け取る際は「授かる」「受ける」「お頒ちいただく」と表現されることが多い
- 神社の窓口は「授与所(じゅよしょ)」と呼ばれる
参拝の基本作法は神社参拝の作法完全ガイドもあわせてご参考ください。
初穂料はどのくらい?神社による違いを見比べる
初穂料に決まった相場はあるのか、と疑問に思う方は少なくありません。実際には同じ品目でも神社ごとに幅があり、一律の金額としては語りにくいのが実情です。公式サイトで金額を公表している三つの神社を見比べると、その差がよく分かります。
| 神社(所在地) | 御札 | お守り | その他 |
|---|---|---|---|
| 八坂神社(京都市東山区) | 御神札 約1,000円 | 約800〜1,500円 | 絵馬 約1,000〜1,200円 |
| 大國魂神社(東京都府中市) | 約500〜2,000円 | 約300〜1,000円 | 絵馬 約500円 |
| 大宝八幡宮(茨城県下妻市) | 公式一覧で確認 | 公式一覧で確認 | 破魔矢 小1,000円/中2,000円/大3,000円 |
同じ授与品でも初穂料は数百円から数千円まで幅があり、一律の相場とは限りません。サイズや素材、祈願の内容によっても細かく分かれます。ここに挙げたのは各神社が公式サイトで示す標準的な授与品の一例で、祈祷のときの木札や石づくりの特別なお守りなど、これ以外にも幅のある品があります。金額は改定されることもあるため、受ける前に各神社の公式サイトや授与所でご確認ください。
主な授与品の6カテゴリ

授与品は神社ごとに細部が異なります。本記事では便宜上、主な授与品を以下の6つのカテゴリに整理しました。これは公式の統一分類ではなく、本記事の編集分類です。
| カテゴリ | 主な例 | 扱い方 |
|---|---|---|
| お神札 | 神宮大麻、氏神神社の御札、崇敬神社の御札 | 神棚にお祀り |
| お守り | 身体安全、家内安全、交通安全、学業成就など | 身に付ける |
| 御朱印 | 参拝の証として御朱印帳にいただく | 御朱印帳で保管 |
| 絵馬 | 願い事を書いて奉納する木製の板絵 | 絵馬掛けに奉納 |
| 縁起物 | 破魔矢、熊手、干支土鈴、千歳飴(神社によりだるま等を扱う場合もある) | 家庭の清浄な場所に飾る |
| その他 | 神桜湯、願掛けうさぎ、神札立て、神鈴、ふろしき | 神社により多様 |
以降の章で、特に問い合わせの多いカテゴリを詳しく整理します。
早見表|持ち方と置き場所で分ける4タイプ
6カテゴリを「どこに置くか」という視点でとらえ直すと、扱い方の見当がつけやすくなります。神社本庁の解説を参考に、持ち方と置き場所という観点で編集部が独自に四つのタイプへ整理した早見表です。これは公式の分類ではありません。自分の授与品がどれに当たるかを見比べると、迷いが減ります。
| タイプ | 該当する授与品 | 手元での扱い |
|---|---|---|
| 携帯型 | お守り | 常に身につけて持ち歩く |
| 据置型 | お神札・破魔矢・熊手 | 神棚や清浄な場所に据える |
| 奉納完結型 | 絵馬 | 境内の絵馬掛けに奉納するのが基本 |
| 記録蓄積型 | 御朱印 | 御朱印帳に記帳し、参拝の証として保管 |
身につけるお守り、据え置くお神札や縁起物、境内に奉納するのが基本の絵馬、と扱いは分かれます。御朱印だけは参拝の記録として手元に蓄えていくもので、お神札のように毎年納めるという区切りがない点も、この一覧表で押さえておくと安心です。
お神札|家に神様をお迎えする

お神札(おふだ)は、神社のご祭神の名前や霊威を表す文字、図象、神社の名前などが記されたものです。神宮大麻などのお神札は、丁重に奉製され、お祓いを経て授けられるものと説明されています(神社本庁・伊勢神宮の解説より)。家の神棚にお祀りして、家全体を見守っていただくのが基本の扱いです。
3つの基本のお神札
- 神宮大麻(じんぐうたいま): 伊勢神宮の御札。伊勢の神宮は国民の総氏神のようなご存在として崇敬され、内宮には天照大御神(あまてらすおおみかみ)がお祀りされている。神宮大麻は全国の神社を通じて頒布されている(詳しくは氏神さまや近くの神社にご確認ください)
- 氏神神社(うじがみじんじゃ)の御札: 現在住んでいる地域を守る神社の御札
- 崇敬神社(すうけいじんじゃ)の御札: 個人的に信仰している神社の御札(縁の深い神社など)
神棚での祀り方の基本
- 神棚は、清浄で明るい高い場所に設置する(目線より高い位置が望ましい)
- 神棚がない場合の祀り方は神社庁・各神社の案内に従い、清浄な高い場所に白布を敷くなどの方法が紹介されることがある
- 現代の住まいに合わせた柔軟な祀り方が、各神社の案内で紹介されている
- 毎朝、米・水・塩などをお供えし、感謝の気持ちで手を合わせる方が多い
神道全体の世界観については神道の世界観とはもご参考ください。
複数のお神札、どう並べる?神棚の配置早見図
お神札が複数になったとき、神棚の中でどう並べるか迷う方は少なくありません。神社本庁の解説では、御神座の順位は中央を最上位とし、次が向かって右、その次が向かって左とされています。この順位を宮形のかたちに当てはめた早見図が、次の一覧表です。
| 宮形のかたち | お神札の並べ方 |
|---|---|
| 三社造り | 中央に伊勢神宮のお神札(神宮大麻)、向かって右に地元の氏神さま、向かって左に崇敬する神社 |
| 一社造り | 一番手前に神宮大麻、その後ろに氏神さま、さらに後ろに崇敬する神社を重ねる |
三社造りは中央から左右へ、一社造りは手前から奥へ、の順にお納めするのが基本とされています。お神札が増えて宮形に納まらないときは、宮形の横に丁寧に並べてまつる方法も案内されています。これは一般的な祀り方の目安なので、迷うときは、氏神さまや近くの神社にたずねてみてください。
お守り|身につけて神様のご加護を願う

お守りは、神社本庁の解説では「お神札と同じく、神さまのお力を戴くもの」と紹介されています。神社庁などの解説では「お守りはお神札を小型化したもの」と整理されることもあります。お神札が家でお祀りする形であるのに対し、お守りは身に付けて持ち歩くのが基本の扱いです。
お守りの主な種類
- 身体安全・無病息災: 健康と無事を願う
- 家内安全: 家族みなの無事を願う
- 交通安全: 移動・運転時の安全を願う
- 学業成就・合格祈願: 学びの成果を願う
- 安産祈願: 安らかな出産を願う
- 商売繁盛: 仕事の発展を願う
- 縁結び: 良い縁を願う
- 厄除け: 災難を避ける願い
神社により取り扱う種類はさまざまで、各神社のご祭神や由緒に基づいた特色のあるお守りが頒布されています。種類別の意味や受けるときの目安は、別記事で詳しく整理します。
お守りの扱い方
- カバン・財布・スマホケース・ポケットなど、いつも持ち歩くものに入れる
- 子どもの場合はランドセルやバッグに付ける家庭も多い
- 清浄に保ち、汚れた場所に置いたり粗末に扱ったりしない
- 複数持つことも問題ないとされる(目的に応じて受ける)
「複数持つと神様同士が争う」という誤解
お守りを複数持つと神様同士がケンカしてしまう、という思い込みを耳にすることがあります。この俗説について、報道媒体の取材に対し神社本庁教化広報センターの担当者は、お守りを複数持っていても神様同士が争うことはないと考えてよい、という趣旨を答えています。八百万(やおよろず)の神々がそれぞれのご神徳をもって協力し、人々を守るとされる神道の世界観とも、無理なく重なる考え方です。
ただし、同じ担当者は数に頼るような持ち方をすすめているわけではありません。大切なのは数ではなく、一つひとつを尊いものとして丁寧に扱う姿勢だと案内されています。用途に応じて必要な数を受け、粗末にしないという中間の線を意識しておきたいところです。
お守りに「有効期限」はあるのか
お守りは1年たつと効き目がなくなる、あるいは1年たったら返さなければならない、という思い込みも耳にします。ただ、神社本庁の解説を見比べると、お守りとお神札で書き方がわずかに違います。お神札は1年間おまつりして年末に納めるのが基本とされます。お守りも同じく年末に納めて新しく受けるのが基本ですが、願いが叶うまで身につけても差し支えない、と柔軟に添えられています。
つまり1年という区切りは決まった期限ではなく、あくまで受け替えの目安と読むのが実際に近いところです。お守りは1年で切れてしまう、とは限りません。とはいえ何年も同じものを持ち続けるより、袋の傷みや汚れ、願い事の節目といったタイミングで新しく受けるのが、無理のない落とし所です。
御朱印と絵馬|参拝の証と願いの板絵
授与品のなかでも、御朱印と絵馬は近年特に親しまれている存在です。それぞれの基本を整理します。
御朱印|参拝の証として残す
- 参拝証印とも呼ばれ、参拝の証として御朱印帳にお受けいただくもの
- 神社名・参拝日・社印などが筆書きされる
- 近年は集める文化として広く親しまれているが、本来は参拝の証であることを忘れない
- 御朱印帳は神社用と寺院用を分けて持つ家庭も多い
御朱印帳の選び方や扱い方の詳細は御朱印帳の選び方でも整理しています。
絵馬|願いを書いて神様にお供え
- 古代の馬奉献に由来する、絵が描かれた木製の板絵
- 願い事や感謝を書いて、境内の絵馬掛けに奉納する
- 願い事の節目を迎えた際に、感謝を伝えるためお礼参りに訪れる方もいる
絵馬の書き方や奉納のマナーは絵馬の書き方で詳しく整理しています。
縁起物|破魔矢・熊手など季節の福徳

神社本庁の解説では、縁起物は年初や縁日に授与され、家庭などに飾って神仏の加護や縁起のよさを願う品々として紹介されています。代表的な縁起物を整理します。
破魔矢(はまや)
- 装飾された矢で、魔除け・厄除けを願う縁起物として頒布される
- その年の干支の絵馬や鈴などが付いていることが多い
- 1年間、家庭の清浄な場所に飾る
- 江戸時代以降、男児の初正月や初節供のお祝いに贈られる慣習もある(神社本庁の解説より)
熊手(くまで)
- 福をかき込むようにとの願いを込めた、装飾された熊手の縁起物(神社本庁の解説より)
- 11月の酉の市(とりのいち)で頒布されることで知られる
- 商売繁盛を願う方々に親しまれている
- 家庭や店舗の清浄な場所に飾る
その他の縁起物
- 干支土鈴(えとどれい): その年の干支を象った鈴
- だるま: 願掛けに用いる目入れだるま
- 千歳飴: 七五三の縁起物
- 鏑矢(かぶらや)・厄除鉾(やくよけほこ): 厄除けの縁起物
季節の年中行事や祭祀の体系については神社の年中行事とはもご参考ください。
受け方・返納のマナー

授与品を受けるときと返納するときに、いくつか共通する作法があります。
授与所での受け方
- 可能であれば、まず本殿で参拝を済ませてから授与所へ向かうと丁寧
- 初穂料を納める(のし袋に包んで渡すのはご祈祷の場合が多く、授与品はそのまま渡してよい神社が多い)
- 受け取った後は、清浄に扱い、家までていねいに持ち帰る
- 授与品の意味や扱い方が分からない場合は授与所で気軽に質問してよい
古い授与品の返納とお焚き上げ
- 1年経ったお神札やお守りは、頂いた神社へ返納するのが基本
- 境内の「古札納所」「古神札納所」「納札所」など、神社が指定する場所に納める
- 賽銭箱があれば気持ちのおさい銭を添える
- 年末から正月にかけて、お焚き上げ(どんど焼き・左義長など)が行われる神社が多い
- 遠方の神社で頂いた場合、近くの神社で受け付けてもらえることもあるため、社務所に相談
- 郵送返納を受け付けている神社もある(事前確認が安心)
返納先に迷ったら|三者の案内を見比べる
古いお守りは授かった神社でないと受け付けてもらえない、という思い込みがありますが、公式の案内を見比べると、そうとは限らないと分かります。原則はどこも「まず授かった神社へ」で共通しますが、遠方で行けないときの代替策は神社ごとに言い回しが異なります。
| 案内元(所在地) | 原則 | 遠方など難しい場合 |
|---|---|---|
| 神社本庁 | 受けた神社に納める | 近くの神社に相談、または気持ちを添えて受けた神社へ送る |
| 江戸総鎮守 神田明神(東京都千代田区外神田) | 基本は受けた神社へ | 郵送や近くの神社への返納ができる場合もあり。返納先へ直接尋ねる |
| 羽田神社(東京都大田区本羽田) | 基本は頂いた神社へ | 遠方なら同じ神様同士であれば別の神社への返納も可能 |
授かった社寺が基本という原則は共通でも、代替の条件は神社ごとに違います。一方で、どの神社にも黙って納めてよいわけではありません。他社での返納はあくまで難しい場合の代替なので、納める先へひとこと声をかけてから納めるのがていねいです。なかには独自の方針で運用する神社もあるため、神社ならどこも同じ、と一般化しないのがよいでしょう。
神社と寺院は分ける
神社・寺院で受けた授与品は、できるだけ同じ信仰体系の社寺へ返納するのが丁寧とされます。神様と仏様は信仰の体系が異なるため、混同しないよう案内する神社・寺院が多くあります。迷う場合は受け入れ先に確認しましょう。
よくある質問
- お守りは何個まで持っていいですか?
厳格な決まりはありません。神社本庁の解説でも、複数の神社からお守りを受けることに問題はないとされ、神様同士が争うようなことはないと紹介されています。ただし、それぞれを大切に扱うことが求められるため、目的に応じて必要な数だけ受けるのがよいでしょう。家族の分や用途別に複数持つ方も多くいます。
- お神札とお守りの違いは何ですか?
神社本庁の解説では、お神札とお守りはいずれも神様のお力を戴くものとされています。お神札は家の神棚でお祀りし、お守りは身に付けて、外出先でも神様のご加護を願うものと説明されています。神社庁などの解説では、お守りをお神札を小型化したものとして整理する例もあります。
- お守りは身につけるべきですか?家に置いてもいい?
お守りは身に付けて持ち歩くのが基本とされますが、用途や状況に応じて、カバンの中・財布・車内・寝室の枕元などに置く方もいます。大切に扱うことが何より大切とされ、汚れた場所や粗末な扱いは避けます。多くの神社案内でも、清浄に扱うことが大切にされています。
- 古いお守りはどこに返納すればいいですか?
1年経ったお守りは、頂いた神社へ返納し、お焚き上げをしていただくのが基本とされます。境内の「古札納所」「古神札納所」「納札所」など、神社が指定する場所に納め、賽銭箱があれば気持ちのおさい銭をお供えします。やむを得ず元の神社へ参拝できない場合は、近くの神社で受け付けてもらえることもあるため、社務所にご確認ください。
- 神社のお守りをお寺で返納してもいいですか?
神社・寺院で受けた授与品は、できるだけ同じ信仰体系の社寺へ返納するのが丁寧とされます。神様と仏様は信仰の体系が異なるため、混同しないよう案内する神社・寺院が多くあります。郵送での返納を受け付けている神社もあるため、参拝が難しい場合は社務所に相談するとよいでしょう。
- お正月に頂いた破魔矢はいつまで飾る?
破魔矢は、頂いた年の終わりまで(およそ1年間)飾るのが一般的とされます。1年経ったら、お神札やお守りと同じく頂いた神社へ返納し、お焚き上げをしていただきます。神社本庁の解説では、お正月に魔除けや幸運を願う縁起物として頒布されると紹介されています。家庭では、神棚や玄関、リビングなど、明るく清浄な場所に飾る方が多くいます。
- 御朱印は参拝しなくても頂けますか?
御朱印は参拝の証として頂くものとされ、お参りを経ずに授与所へ直行するのは避けたい振る舞いとされています。宮城県神社庁の案内でも、御朱印は参拝してこそ意味があり、スタンプラリーではないと呼びかけられています。一方で、複数の神社を巡って御朱印を頂くこと自体が戒められているわけではありません。まずお参りをしてから頂くという順序を大切にし、集めること自体が目的にならないよう心がければ、神社巡りとして楽しんで差し支えないものです。
- 授与品の初穂料に決まった金額はありますか?
全国一律の決まった相場があるわけではありません。公式サイトで金額を示している神社を見比べると、同じお守りでもおよそ300円から1,500円ほどと幅があり、御札や破魔矢はサイズや祈願内容によってさらに細かく分かれます。金額は改定されることもあるため、受ける前に各神社の公式サイトや授与所で確認しておくと安心です。
参考文献・出典
神社公式
- 神社本庁「お神札・お守り」
- 神社本庁「縁起物について」
- 神社本庁「お神札のまつり方」
- 神社本庁「御朱印」
- 神社本庁「よくあるご質問(古神札・お守りの納め方)」
- 伊勢神宮「授与品(お神札・お守り)」
- 東京大神宮「お神札・お守り」
- 東京都神社庁「お神札・神棚について」
- 宮城県神社庁「御朱印のマナー」
